続・闇色のシンデレラ
神木優人(かみきゆうと)、でしょう?」



わたしはとある男の名を口にした。


衝撃を受けた少年は目を丸くし、周りからはざわり、驚きの声が上がった。




「極山会系神木会、会長の長男。
ライフル射撃の天才と呼ばれた男」



あの日のことを、あの男を、忘れるはずがない。



「それを極山に利用され……わたしを撃って闇に葬られた」



彼ほど凄惨(せいさん)な最期を遂げた人間はいないのだから。





「彼はあなたのお兄さんで間違いない?」

「っ……」

「それであなたは……復讐のためにわたしを狙ったというところかな」



あの後、神木会は潰れたと聞いた。


組長とその妻は自害。居場所をなくした組員は各地に散らばり、神木会の(もん)は消えた。


組長には2人の息子がいて、次男が行方不明だということも知っていた。


それが目の前にいるこの子のことだろう。


なぜ1年が過ぎようとした今、こうして現れたのかは分からない。


推測するなら、同じ拳銃を持ち出し行方を眩ませて、わたしたちが事件を忘れかけた頃に復讐を試みた───こんなところだろう。



「驚いた?こんなに調べてるなんて思わなかったでしょ。
わたしだって、ただこの人に守らているだけの能無しじゃないの」



それが失敗に終わったからいいものの、万が一のことがあったなら……。


考えると恐ろしくなり、半歩後ろに立つ志勇の隣に移動して、腕を組んで頭を預けた。


ひとつ深呼吸をすると志勇の香りが胸に広がって落ち着けた気がした。
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