エレベーター
カチッと音がしたかと思うと、スピーカーがジジッと微かに音を立てたのだ。


『はい。どうされましたか?』


それは聞き覚えのない女性の声だった。


それが、スピーカーから確かに聞こえて来たのだ。


あたしは唖然としてスピーカーを見つめる。


これ、なに?


本当に外に繋がっているの?


混乱し、返事をすることもできなかった。


『どうしましたか? 大丈夫ですか?』


女性は繰り返し質問してくる。


この声に返事をしたらどうなるのだろう?


あたしは、助かるんだろうか……?


『大丈夫ですか?』


「だ……大丈夫じゃないです!!」
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