クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
「素敵な旦那様ですって」
「……嫌味か」
「え?」
「そんないいものじゃないことくらい、自分が一番よくわかってる」
「……そんなことないですよ」
視線を伏せて、靴の下の石畳を見つめる。
「散歩に付き合ってくれる旦那様なんて、きっと少ないんです。だからちよしくんのお母さんもああ言ったんだと思いますよ」
言葉を選びながら言うと、また沈黙が沈黙が下りた。
ややあって、夏久さんが微かに笑った気配を感じ取る。
「……もし、世間一般の夫というものが散歩に付き合わないんだとしたら、皮肉な話だな。恋愛結婚した夫婦はこう過ごさないのに、そうじゃない夫婦が“素敵”だと言われるような過ごし方をするなんて」
「事実はわかりませんけど、本当にそうだとしたら…今だけは恋愛結婚じゃなくてよかったです。夏久さんと一緒にいるの、楽しいですから」
夏久さんがぴたりと足を止めた。
けれど、すぐにまた歩き出す。
「俺がこんな態度でも?」
「……そうですね」
(だって、私の気持ちは変えられない)
無意識に自分が笑っていたことに気付く。
どんな表情か見ることは叶わないけれど、たぶん、幸せな笑みではない。
「……嫌味か」
「え?」
「そんないいものじゃないことくらい、自分が一番よくわかってる」
「……そんなことないですよ」
視線を伏せて、靴の下の石畳を見つめる。
「散歩に付き合ってくれる旦那様なんて、きっと少ないんです。だからちよしくんのお母さんもああ言ったんだと思いますよ」
言葉を選びながら言うと、また沈黙が沈黙が下りた。
ややあって、夏久さんが微かに笑った気配を感じ取る。
「……もし、世間一般の夫というものが散歩に付き合わないんだとしたら、皮肉な話だな。恋愛結婚した夫婦はこう過ごさないのに、そうじゃない夫婦が“素敵”だと言われるような過ごし方をするなんて」
「事実はわかりませんけど、本当にそうだとしたら…今だけは恋愛結婚じゃなくてよかったです。夏久さんと一緒にいるの、楽しいですから」
夏久さんがぴたりと足を止めた。
けれど、すぐにまた歩き出す。
「俺がこんな態度でも?」
「……そうですね」
(だって、私の気持ちは変えられない)
無意識に自分が笑っていたことに気付く。
どんな表情か見ることは叶わないけれど、たぶん、幸せな笑みではない。