クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
思えば、今日はいろんなことを聞かれている気がした。そもそもこの外出だって、私がどういう散歩をしているかという私自身に関することである。
(私のことを知りたい、っていうのとはまた違うんだろうけど。……なにか伝わったらいいな)
「そうですね、ほかには……。……あ、この間小学生の男の子たちと知り合いました」
「……思っていたのと違う相手が来たな。どういう経緯でそうなった?」
「公園で遊んでいるところを見ていたら、その子たちの遊んでいたボールが飛んできたんです」
「なっ……!?」
「あっ、でも怪我はなかったです」
「当たり前だ! どうしてそのことを話さなかった?」
「え? だって怪我をしなかったんですよ」
夏久さんが額に手を当てて小さくうめく。
どうやら、先日の私の選択は失敗だったらしい。
(大したことでもないのに、散歩中の話をするのはよくないかと思ったの)
私は夏久さんによく思われていない。嫌われていると言ってもいい。
そんな人間から「散歩中にボールが飛んできて驚いたけれど怪我はなかった」と報告されたところで、どう反応していいか困るだろう。
これが「ボールに当たって骨折してしまった」なら、報告する意味もある。でも、そうではなかった。だから私は話さずにいた。
(私のことを知りたい、っていうのとはまた違うんだろうけど。……なにか伝わったらいいな)
「そうですね、ほかには……。……あ、この間小学生の男の子たちと知り合いました」
「……思っていたのと違う相手が来たな。どういう経緯でそうなった?」
「公園で遊んでいるところを見ていたら、その子たちの遊んでいたボールが飛んできたんです」
「なっ……!?」
「あっ、でも怪我はなかったです」
「当たり前だ! どうしてそのことを話さなかった?」
「え? だって怪我をしなかったんですよ」
夏久さんが額に手を当てて小さくうめく。
どうやら、先日の私の選択は失敗だったらしい。
(大したことでもないのに、散歩中の話をするのはよくないかと思ったの)
私は夏久さんによく思われていない。嫌われていると言ってもいい。
そんな人間から「散歩中にボールが飛んできて驚いたけれど怪我はなかった」と報告されたところで、どう反応していいか困るだろう。
これが「ボールに当たって骨折してしまった」なら、報告する意味もある。でも、そうではなかった。だから私は話さずにいた。