クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
「すみません……」

 馴れ馴れしい人だと思うだけで、普通に受け入れようとしていた。そんな自分の迂闊さが情けなくて、恐ろしくて、恥ずかしい。
 うつむくと、彼が微かに身じろぎした。

「……いや、俺もちょっときつく言いすぎたな」

 顔を上げると、困ったように笑っている。
 愛嬌のある顔だと改めて思う。笑った顔も怒った顔も、困った顔ですら様になっていた。

「なにか奢るよ。君の飲みたいものを頼んだらいい。でも、俺をグラスに近付けさせるなよ」
「でも、助けてくれたんですよね……?」
「そうやって信用させてからいただくつもりかもしれないだろ」
「いただく?」
「……君が世間知らずなのはよくわかった」

 また溜息を吐かれてしまった。
 彼は女性店員を呼ぶと、私に注文を促してくる。

「はい、ご注文は?」
「温かいお茶ってありますか……?」
「ありますよ。ウーロン茶? 緑茶?」
「ウーロン茶で……」

 しばらくしてお茶が運ばれてくる。
 自分で言った通り、彼は私のグラスに触れようともしなかった。
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