クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
「困ったな。適当に相手して帰るつもりだったのに、家まで送ってやらなきゃいけない気持ちになってる」
「さすがにそこまで世間知らずじゃないですよ。自分の家くらい、ひとりで帰れます」
「そういうことじゃなくてな」
「……そんなにだめな人間に見えますか?」

 不安を覚えて尋ねてみる。
 自分が世間知らずで、警戒心のない女だというのはこの短時間で嫌というほど思い知った。でも、そこまでひどくはないと信じたい気持ちが強い。
 私の問いに、彼はしばらく答えなかった。
 ただじっと見つめて、また困ったように口角を引き上げる。

「だめだとは思わないが、まあ、放っておけないタイプの人だとは思う」
「それって褒められてないですよね……?」
「ノーコメント」
「ひどいです」

 ふっと笑ってしまうと、つられたのか一緒に笑ってくれる。
 なんだか、どうしようもなく胸が温かくなった。
 ホットウーロン茶のおかげかと思ったけれど、いつの間にか中身はすっかりぬるくなってしまっている。
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