クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
次の日、朝起きた私は珍しくまだ出社していない夏久さんと鉢合わせた。
「おはようございます」
「……おはよう」
夏久さんはソファでコーヒーを飲んでいた。
新聞を読むその横顔に少しだけどきっとする。
(今日はいつもより遅く出る日?)
気にはなるけれど、昨日のこともあってなんとなく話しかけづらい。
それでも私が黙ってしまえば夏久さんはきっとなにも言わなくなってしまう。
だから、精いっぱいの勇気を振り絞った。
「朝ご飯は食べましたか?」
「……うん、まあ」
自分で聞いておきながら、返答にダメージを受けてしまう。
(私と食べるのはやっぱり嫌なんだ)
しゅんと気持ちが落ち込むのを感じながら、自分は自分で朝食をとろうとキッチンへ向かう。
そして、目を見張った。
流し台に片付けられた食器と、明らかに作った分より減っているシチュー。そしてなぜか昨夜はなかったフランスパンが用意されている。
「夏久さん、これ……わざわざ買ってきたんですか?」
「パンなら炊かなくても食べられるしな。君がまたキッチンを動き回らずに済む」
(私のため……?)
「それに、シチューは米じゃなくてパンだろ?」
夏久さんはこちらを見なかった。
でも、不意に新聞を置いて立ち上がる。
そして私の前までくると、気まずそうに視線をそらしながら言った。
「昨日は……悪かったな」