クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい

 期待は淡い幻想のまま、あまりうまく距離を詰められないまま時間ばかり過ぎていった。
 ひと月、ふた月と経て、少しずつ自分の身体が変わっていくのを感じる。
 そして今日は定期健診の日だった。
 夏久さんとともに病院へ行き、産婦人科の先生と向き合う。

「うん、順調に育っていますね。お母さんの方で気になることはありますか?」
「つわりが軽いようなんですが、なにか問題があったりしますか……?」
「中にはそういうお母さんもいらっしゃいますよ。逆にひどくなったときはすぐに連絡してくださいね」
「はい。ありがとうございます」
「ほかには大丈夫ですか?」
「そうですね、特には――」
「本当に順調なんでしょうか?」

 私の言葉を遮るようにして夏久さんが口を開く。

「自分でもいろいろと調べたつもりです。この時期のエコー写真だと、もっと胎児は大きく育っているものだと思っていました。つわりが軽いのとなにか関係があったりは……?」

 はっきりと、でも少し余裕なく言うことに驚きを感じた。
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