クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
(なにも気付かなかった。見ていたはずなのに)

 最初に出会ったときから、彼女からは目が離せなかった。妊娠がわかり、結婚してからも変わらない姿を不安に思い、ますますそれが加速した。
 放っておけば食事をとることすら忘れてしまいそうで、きちんと見ていなければいけない気持ちになっていた。だから毎日のように食事を共にし、用意したものを取り入れているか確認して安心していた。

 万が一のことがあったら、きっと自分のことを許せなくなる。

 あの夜のことは彼女の策略だとしても、妊娠はイレギュラーなことだったと思っている。
 そういう可能性があるとわかっていたからこそ避妊には気を付けたし、彼女がその点に関してなにかできるほど手馴れているようには思えなかった。

 思いたくなかったというのはあるが、この際置いておく。
 彼女は妊娠し、今は妻として庇護下にある。それが事実なのだから。
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