クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
 ――夏久さんが息を切らせて帰ってきたのはそれから三十分ほど経ってからだった。
 どさり、と大量の袋がテーブルに置かれる。

「あの、これ……」
「買ってきた。好きなのを食べたらいい」
「……いくつ買ってきたんですか?」

 袋に入った箱を開けながら、おそるおそる確認する。
 ひとつふたつなどというかわいらしい量ではない。
 これからフルーツタルトパーティーでもするのかと思うほどの量である。
 しかも箱を見る限り、複数の店を回ったようだった。

「数えてない。あるだけ買ってきたから」
「どうして、そんなに……」
「君がどれを食べたいかわからなかったから。いちごだけのものはもう売り切れていたし。だったら、とりあえずありったけ用意すれば、なにかしら気に入るものがあるんじゃないかと思って」

(だからってこの量は……)

 ひとつずつ種類の違うタルトが、私の中であるものと重なる。
 見た先はやはり大量に用意されたサプリメントだった。

「どうした? 気に入りそうなのはなかったか?」
「えっ? あ、いえ」

 きらびやかな宝石にも似た、フルーツでいっぱいのタルトをそっと手に取る。
 皿によけて、フォークを取り出した。
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