獣人騎士団 アヴシャルーア

副団長サミュエル Ⅳ

「どうだ?怖くはないか?」


サミュエルは。ある程度下から見えない高さに高度を上げて、アリスに聞く。


「はい、大丈夫です。さっきは少し高すぎて…あっ…ごめんなさい。助けて貰ったのに、私ったらお礼も言ってないですね…ありがとうございました。あのまま捕まって居たらと思うと…」

「いや良いんだが、1つ聞いても良いか?今迄、海にいて危険な事は無かったのか?」

「何となく人が来ると、海に潜って隠れてました。何故か、ずっと潜って居られるんですよ。海の底で、魚や亀と遊んだりもしたんです。私、隣国の森の奥にいたので、友達なんて居なくて、初めての遊び友達なんです」

「隣国は人間が多い国だよな。大丈夫だったか?全てでは無いが、人間は人以外はあまり好きでは無いだろう…多分だが。アリスは人間では無いと思う…と話してるうちに、家に着いた」


サミュエルは街の真ん中に高度を下げていき、家が立ち並ぶ端の方にある、ベランダのとても広い家に降り立った。


「ここが私の家だ。ベランダでの出入りが多いので、特別ベランダが広いんだよ。中は狭いから覚悟してくれ」


サミュエルは、アリスが裸足のままなのを見て、抱いたままベランダの扉を脚で開き、靴を脱いで部屋に入って行った。何部屋か素通りして、目当てのバスルームに着いたらアリスをゆっくり立たせて膝から手を離した。


「先ずは、シャワーを浴びで身体を温めろ、夜風で冷たくなっているからな、使い方はわかるか?」


アリスは少しふらつき、サミュエルに腰を支えてもらい、安定したのかシャワー室の中をざっとみて。


「大丈夫そうです。ルイ亭の二階にあるシャワー室と同じだと思います」


サミュエルは、一瞬眉を寄せて…直ぐに元に戻して。


「こちらにある物は、全て使って良いから、温まって出てこい。出てすぐの所に、タオルと簡単な服は置いておくが、下着は無いんだ。すまない。
洗濯物は、そこの中に入れれば自動的に全てしてくれるから入れておけ。
手を離しても大丈夫そうか?」


そっと手を離して、アリスがふらつかないか確かめて、初めてサミュエルから笑顔がでた。

その笑顔を見たアリスは、ボッと火が出た様に、全てが赤く染まった。ワイルドイケメンの笑顔は凄い破壊力だ。


「ありがとうございます!何から何まで!すぐに温まります」


と言って、サミュエルをバスルームから押し出した。押し出されたサミュエルは??大丈夫そうなら良かったと、言い。アリスの着れそうな服やタオルを準備して、自身も気楽な部屋着に着替えた。

その頃アリスはドキドキしている胸を押さえていた。


(なんなんだろ…ルイ亭でもとても気になって…格好良いけど、それだけじゃなくて気になるの。ドキドキして、近くに居る時に、胸の音が聞こえないか心配で…海で助けて貰った時は、何が何か判らないけど、とにかくあの人だ…しか頭に無くて。ふと下を見るとあまりの高さに驚いて、その後はサミュエルさんからの惹きつけられる香りに包まれ、自分をなくしそうになって…あ~何考えてるんだろう~とにかくシャワーを浴びよう)

サミュエルは、なかなか聞こえないシャワーの音に、少し心配していたがやっと聞こえてきたので、ホッとして自分の手を動かした。
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