春夏秋冬

光るもの



一歩一歩、桜のアーチの中を進む。


―――ピンクの雲みたい。

そう思った時だった。

カァーッ!!

鋭い鳴き声とともに目の前を黒いものが通り過ぎた。

「わっ・・・!!」

あたしは思わず目をつぶった。


バサッバサッと大きな羽音が小さくなるのを感じて目を開ける

「か、カラス?」


―――なによ、もう。


悠々と遠ざかっていくカラスに悪態をついたその時。

「・・・あれ?」

ふと、視線を落とした桜の木の根元でキラリと何かが光った気がした。

急いで駆け寄って拾ってみるとそれは、

「エンブレム?」

そう、制服につけるエンブレムだった。
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