守るべきは・・・誰

☆☆輝···side


支店長 事
    庄内 輝···


今朝、
大野 結月は、
ニューヨークに旅立った。

あいつの事だから
きっと、大きく成長して
帰ってくる事はわかっていたが
俺自身が離したくなくて
理由をつけて先伸ばしにしていた。

それを瀬尾から叱られてしまった。

大野は、インターンシップで
わが社にきて、意欲的で
すべての事に目をキラキラさせて
取り組む、頼もしい子で
この仕事が好きなんだと
わかって楽しみがあった。

インテリアプランナーの
試験を落ち
内定取り消しになると
思っていたみたいだが
俺は、仕事しながら
試験を受けたら良いと伝えた。

すると、彼女は本当に
仕事をこなしながら
試験を合格した。

試験に合格して、
落ち着いたら
彼女に俺の気持ちを告げたいと
思っていた矢先に・・・・

お祝いの飲み会の帰りに
知り合った男性と
交際し結婚してしまった。

失恋決定だったが
それでも密かに
見守ろうと思っていた。


だが・・・・・


ここのとこ、彼女がおかしい
笑顔もない
それに、珍しいミスを犯した。

まあ、俺と課長で事なきは得た。
彼女がちゃんとデザインを
つくっていたからだが・・・・

それから数日後
彼女から課長に報告があり
俺は、彼女を呼び話をした。

彼女から聞いた内容に
憤りを感じたが
それよりも
彼女自身が心配だった。

俺が早く気持ちを
伝えていたら
彼女をこんなめに
合わせる事は絶対になかったのに。

それからは、時間が許す限り
結月を食事に誘い
休みの日も理由をつけて
呼び出したりした。

この一年
目を腫らして出社することが
多かった結月に
少しずつ笑顔が出るように
なってきた。

「支店長。いつまで
彼女に言わないつもりですか?」
と、彼女の先輩にあたる瀬尾から
言われた。

実は、ニューヨーク支社から
結月が欲しいと打診されていた。
結月のデザインが気に入ったようだ。

だが、うちの支店でも
手放すつもりはなかったから
二年間の勉強と言うことで
話がついていたが、
結月に伝えずに
先伸ばしにしていた。

わかっている、近頃は
当時の様な顔はしていないし
仕事も順調だ。

それに、日本から一度
出した方がよいことも
わかっている
だが、
俺自身が心配だったから。

そんな俺にあきれて
瀬尾が結月に話をした。

もちろん、結月は
行きたいと目をキラキラさせていた。

行かせないことは
できないから
悪あがきに
結月の荷物を無理やり
自分のマンションに置かせて
出発まで家に住まわせた。


俺は、
ニューヨークに行っている
二年間で、絶対におとしてやる。
待ってろよ、結月。

絶対に、もう迷わないから。
と、心に誓った。
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