守るべきは・・・誰

☆☆輝


大野 結月を
ニューヨークに行かせたが
心配でたまらなかった。

もちろん、結月の心を

そして、結月に近づくだろう
男達も。

結月は、スマートな身体に
手足が長くて
目は、大きく
高い鼻
プックリした唇
綺麗で可愛い顔をしていて
誰もが振り替えるほどだ。

結婚していると知ってからは
部下として接するように
してきたが
離婚してからは、
結月の精神が不安定で
自分の見える所に
置いていたかったから
平日は、夕飯に誘い、
休日は、何かしら理由を作り
連れ出していた。

そして、いつか自分を
その瞳に映して欲しいと
願っていた。

だから、結月がニューヨークに
行ってからも
時間を作り結月の顔をみるために
渡米した。

結月が渡米して、始めて
ニューヨークに行った時は
泣かれてしまった。

喜んで貰えたようで
良かったが。

それからも
平日には、
仕事をいれるだけ詰め込み、
休日は、時間が許す限り渡米した。

例え、少しの時間でも
結月の近くにいたかった。
結月に安心して欲しかったから。

正式に結月の帰国が決まると
空港に迎えに行き
心から、ほっとしたものだ。

プロポーズは、済ませたが
中々、良い返事は
貰えなかった。

やっと、決断してくれたので
注文していた指輪を受取に
行った日に
“ 結月 ”
と、結月を呼ぶ男性に会った。

結月の別れた旦那だと
わかった。

ボサボサの髪に
少しよれた服を着ているが
かなりの顔の整った男性だ。

結月は、嫌いで別れたわけではない
内心は不安だったが
結月の意志に任せようと
伝えるが、話すことはないと
結月は、言い切る。

彼は、話したいと
元カノ?妻?が書いた
結月宛の手紙を読んで貰いたいと。

俺は、今更この人は何を言っているのか
やっと立ち直ってきた
結月にその手紙を見て
何を思わせたいのか
と、思い口開いた。

謝ってもらっても
あの時の結月の
辛さや、悲しみはなくならない。

自分達は、読んでもらい
少しは、わかってほしいのかも
知れないが、それはあくまでも
自分達だけの意志だ。

そんなもんは必要ない
彼は、一番大事な守らないと
いけない人を間違ったんだ。

俺は、絶対に間違わない。
俺が、愛し守り抜く人は、
ただ、一人だけ。

結月の涙を拭き取りながら
抱き締めたい気持ちを抑え
その場を後にする。

彼に少しは通じたのか
結月に詫びて幸せになって欲しいと
去り際に言われた。

結月もきっと同じ気持ちのはずだ。

マンションに戻り
俺の不安な気持ちがわかって
結月から
俺のものにして欲しい
と、言ってくれた。

それも、輝さんから輝と
呼び名を変えて。

胸が、ギュッと。

何度、俺の心を
結月で、いっぱいに
させられるんだろう。

だが、抑えがきかずに
何度も、何度も
抱いてしまい
結月に謝罪する羽目となった。
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