【完】ボクと風俗嬢と琴の音

日当たりの良い2LDKの物件。
リビングは共有スペースだけど
それぞれの部屋もあり、プライバシーは十分守れる。


…ハルが人のプライバシーを侵害するようなタイプには到底思えやしないけど。


特に持ち物のなかったわたしだけど、リビングはハルの持ってきた電化製品は一緒に使って良いというわけで
普通の一人暮らしを始めるよりは経費はかなり抑えられた。



この数か月はホスト通いもしてなかったし、ブランド物も我慢していたお陰で
余裕で前の家の滞納家賃は払えて、月初めのこの部屋の家賃も滞りなく支払えた。



さすが風俗嬢さま!!



そこらの昼職より収入は実際高い。
それをどう使うかは、本人の問題だけど。




今日はお休み。
最近は週6回真面目に働いてたけど
休みに融通がきくのも風俗業界の良いところ。


このマンションは入り口にオートロックもついている。


鍵の回される音より先に、琴音の耳が揺れて、玄関へと一気に走っていく。
人間様よりずっと耳は良い。
そして彼女は、ハルが帰ってくると1番に気づく。



愛されてると。


玄関にちょこんと座り込み、顔を上げて扉を見つめてる姿に
心が柔らかくなってしまう。


< 102 / 611 >

この作品をシェア

pagetop