Please eat me.~チョコレートは私~
「やっとかよ」

はぁっと課長が短くため息をつき、ビクンと身体が震える。
でも課長は書類と共にチョコを掴んで私から受け取った。

「おっせーんだよ」

がさがさと包装紙を剥がす音が聞こえ、ようやく課長の顔を見た。
開けた箱から無造作にチョコを摘まみ、ぽいっと彼は口に放り込んだ。

「なんでさっさと渡さねーんだよ。
お前からもらえないのかとヒヤヒヤしただろ」

「だって……」

言い淀む私を、眼鏡の奥からじろっ!と眼光鋭く八杉課長が睨む。

「言いたいことははっきり言えといつも言っているはずだ」

「うっ」

いつも仕事でもプライベートでも同じことで怒られる。
進歩のない自分が情けない。

「八杉課長は美人からのチョコ、全然受け取ってなかったので……。
私ごときのチョコなどいらないのかと……」
< 3 / 10 >

この作品をシェア

pagetop