エリートパイロットの独占欲は新妻限定


佐奈に心配をかけたのは事実。由宇は素直に謝った。

バリ島での三日間は食事以外ほとんどホテルから出ず、ふたりでヴィラのプールに入ったり、ホテルで開催されるバリダンスを鑑賞したりして過ごした。

ヴィラにいるときは智也とほぼくっついていたような気がする。思い出したようにキスを交わし、心が求めるままに体を重ね、それは濃密な時間だった。

帰りが夜の便だったため、智也が言っていた〝またたかない星〟も飛行機の窓から見られて、飛行機ならではの絶景を楽しめた。


「ま、丸く収まったのならなによりだけどね」


佐奈はアロマキャンドルに鼻をつけて匂いを嗅ぎながら笑った。

由宇に対する智也の〝好き〟は責任感から生まれたものであって、本物の愛ではない。それでも由宇の気持ちを受け止め、智也が本気で好きになろうとしてくれているのはわかる。

だから今はそれでいい。少しずつ本物の愛に近づけるよう努力していこう。智也に本気で好きになってもらえるようがんばろう。


「それで佐奈に相談なんだけど」
「今度はなに?」
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