エリートパイロットの独占欲は新妻限定
「智也さんの誕生日が近いんだけど、なにをあげたらいいのかわからなくて」
ふたりで過ごす初めての智也の誕生日。できる限り素敵な夜にしたい。
「そうだなぁ。時計とか洋服とか? 大人の男ってなにを喜ぶんだろうね」
佐奈が首を捻る。
「それを佐奈に聞いてるの」
「私だって三十過ぎの男の嗜好はわからないよー。由宇の首にリボン巻いて〝私を召し上がれ〟でいいんじゃない?」
「ちょっとなにそれ! もっと真剣に考えてっ」
両手に拳を握って厳重に抗議すると、佐奈はアハハと楽しそうに笑った。
由宇が不満顔で佐奈の淹れてくれたコーヒーのカップを手にしたときだった。テーブルに置いていた由宇のスマートフォンが、メッセージの受信を知らせて軽い音を立てる。
昨日からホノルルにフライト中の智也かと飛びついたら、香澄からのメッセージだった。
このところ頻繁にメッセージのやり取りをするようになり、特にバリ島から帰ってきてからはちょくちょく智也の様子を伝えるものが写真付きで送られてくる。