エリートパイロットの独占欲は新妻限定


智也は機長に「ちょっと失礼します。すぐに追いかけますから」と声をかけ、由宇の方へやって来た。思わぬ事態と颯爽とした空気感に気圧される。


「由宇、なんでここに?」


空港にいるとは思いもしなかったのだろう。


「父の荷物を取りにきたんです」


紙袋を持ち上げると、智也は「あぁそうか」と大きく頷いた。

通り過ぎていくキャビンアテンドたちの視線がなんとなく痛い。綺麗な顔だからこその迫力というのか、前を向いたまま目だけが向くから睨まれているようにも感じる。

たぶん智也は社内でもモテるから、誰なの?といった探りもあるだろう。
自分のようなパッとしない女が智也の結婚相手だなんて誰も思わないだろうな。
そう考えると肩身が狭い。


「来るって教えてくれていれば一緒にランチできたのに」
「いえいえ。忙しいでしょうから」


そんな厚かましい真似はできない。
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