もう一度あなたに恋をする
朱音の母親が帰った翌日、久々に病室を訪れた。少しの間会話をし、面会終了時間も近くなったので帰ろうと立ち上がると、朱音が俺の袖口を掴んで離さなかった。『私も久瀬さんが好きです。ずっと前から。』そう言われた時も同じく俺の袖を離さなかった彼女、もしかしてと一瞬期待したが違った。
俺はその日から毎日七時には彼女の顔を見に行く。どんなに仕事が忙しくても六時半から八時半までの時間は必ず確保した。朱音の傍を離れたくなかった。
十二月末、病院も年末年始の休みに入るギリギリで朱音は退院することが出来た。
彼女が帰省するのではなく両親が翌日から泊まりに来るらしい。しかしそのたった一日が心配でならない。本来なら家に連れて帰りうちで一泊させたいところだが、俺と付き合う事になった記憶の無い彼女を連れて帰る事は出来ないため、夜と翌朝電話を入れ無事を確認する事にした。
そして自宅療養中の一月の週末は必ず彼女の家に出向いた。仕事の進捗状況の報告、ドライブや買い物。彼女も初めのうちは恐縮がっていたが最近では週末を楽しみに待ってくれているように思う。
朱音の記憶が戻りそうには無いが彼女との関係は順調で悪くない。ただ日が経つにつれ仕事の方が問題だった。
アシスタントの二人ともが不在の状況で十二月は何とか乗り切った。プロジェクトの方は高木さんが朱音の仕事をカバーしてくれたので凌げたが通常業務の方が大変だった。他のチームのアシスタントが『私移動でもいいです。』『九条さんや立花さんが出来てたなら自分でも大丈夫だと思います。』と意気込んでくるのでいちいち説明し断るのも面倒くさくなり実際に朱音がしていた書類を手渡すとパソコンの前で固まってしまっていた。立花さんがしていた仕事なら彼女たちでもこなせるだろうが朱音が受け持っていた仕事をできるものは少ない。自分から名乗り出た者の中にいないのは確かだ。
立花さんの代わりになる人材を早く探さないと・・・。そんなある日、人事部長から二十日から来てくれるアシスタントの手配が出来たと連絡があった。なんでもアシスタントの経験があるらしい。アシスタントの補充は一人でいい。二月には朱音が復帰するから。
俺はその日から毎日七時には彼女の顔を見に行く。どんなに仕事が忙しくても六時半から八時半までの時間は必ず確保した。朱音の傍を離れたくなかった。
十二月末、病院も年末年始の休みに入るギリギリで朱音は退院することが出来た。
彼女が帰省するのではなく両親が翌日から泊まりに来るらしい。しかしそのたった一日が心配でならない。本来なら家に連れて帰りうちで一泊させたいところだが、俺と付き合う事になった記憶の無い彼女を連れて帰る事は出来ないため、夜と翌朝電話を入れ無事を確認する事にした。
そして自宅療養中の一月の週末は必ず彼女の家に出向いた。仕事の進捗状況の報告、ドライブや買い物。彼女も初めのうちは恐縮がっていたが最近では週末を楽しみに待ってくれているように思う。
朱音の記憶が戻りそうには無いが彼女との関係は順調で悪くない。ただ日が経つにつれ仕事の方が問題だった。
アシスタントの二人ともが不在の状況で十二月は何とか乗り切った。プロジェクトの方は高木さんが朱音の仕事をカバーしてくれたので凌げたが通常業務の方が大変だった。他のチームのアシスタントが『私移動でもいいです。』『九条さんや立花さんが出来てたなら自分でも大丈夫だと思います。』と意気込んでくるのでいちいち説明し断るのも面倒くさくなり実際に朱音がしていた書類を手渡すとパソコンの前で固まってしまっていた。立花さんがしていた仕事なら彼女たちでもこなせるだろうが朱音が受け持っていた仕事をできるものは少ない。自分から名乗り出た者の中にいないのは確かだ。
立花さんの代わりになる人材を早く探さないと・・・。そんなある日、人事部長から二十日から来てくれるアシスタントの手配が出来たと連絡があった。なんでもアシスタントの経験があるらしい。アシスタントの補充は一人でいい。二月には朱音が復帰するから。