いちご
「ちょっと見るな。そのままでいいよ」
そう言って片手で聴診器を耳に付ける慶兄と、横になる私を美春がキョロキョロと心配そうに見守っている。
心配かけちゃったなあ。
美春の心配そうな顔を見ると、申し訳なさから罪悪感が産まれた。
慶兄は胸の辺りの掛け布団を取ると、聴診器を私の胸に当て、離してまた当ててを何回か繰り返した。
「もう大丈夫そうだな。軽い栄養失調と貧血を起こしてたぞ。」
そう言って耳から聴診器を取ると、首に戻した。
「ご…ごめんなさいぃ…」
栄養失調って…。びっくりした。
「それと…、」
ま、まだあるの!?
驚いて慶兄を見上げると、腕を組んで私を見ていた。
「………ストレス」
たっぷり溜めて言われてしまった。
身に覚えがある私は、視線を落とすしかなかった。