腕の中の静けさは・・・
「思い出した?ってか忘れんな!あんなひでぇ~話を!!」


「はぁ~~い(笑)」

「ったく笑い話にはさせねーっての。結婚式の翌々日から新婚旅行前日まで仕事で海外行くとか??ありえないからね?フツー???しかもダンナ置いて1人でとか?ありえないでしょ?フツーの奥さんなら??なんか思い出したらまた腹が立ってきた!!!」



「あはははは」って声にしたらすごく呆れた顔をされた。


だから「フツーじゃなくてごめんね」って改めて反省した。







「まったく困ったちゃんっすね。ボクの奥さんは(笑)」

「ごめんなさい」

「で?いつなの」

「9月。(笑)」

「はぁ?またずいぶんと先っすねぇ(笑)」

「前にねエイミ言ってた」

「ん?」

「9月のオーロラって」

「あ~それね」

「知ってるの?」

「ん。正木も言ってたもん。エイミの夢だから叶えてやりたいって。意外にもロマンチストで驚いたけどね(笑)」

「へぇ~~~ええ~~~」

「それにオーロラ見るなら9月ってオレも聞いたことあるしね」

「へぇぇぇえええ~~~~~そーなんだ」

「ぶはっ、、(笑)」

「なによ~」

「へぇ~へぇ~うるせぇ~(笑)」

「だってぇ~感心したんだもん」

「オレたちもいつか、、いこっか?」

「えええええ~~うんうん。いくいく行きたい!!!」

「ん。でもその前に子供たち説得しなきゃっすよ?」

「ぁぁ、そーだった。って?え!ソウル行ってもいいの?1人だよ?私だけなんだよ?
1週間だよ?・・・・・・」






ハイウェイのパーキング


ゆっくりシートベルトを外すと、ぬぅって私のほうに来るから身構えると
笑いながらシートベルトを外してくれた。

「そんなに身構えなくても、、(笑)。そーゆーの地味にへこむから・・・」




チュってキスをして抱きしめられる。



「さみしいに決まってるでしょ。1週間も会えないなんてさみしいよ」

ぁ、、さっき最後に言葉に出来なかった気持ち・・・わかっちゃったんだね。
やっぱりすごいね、ユソンって。


何も言わずに腕を回したら途端に深いキス。
漏れる吐息も全部ユソンの中に消えいってしまう。



「、、、、、ン」




苦しくてコクンって必死で息を飲み込んだら名残惜しそうに離れた唇。
車内にお互いの早い呼吸の音だけがする。




「子供たちじゃないっすよ?」

耳元で聞こえた声。




「ぇ?」


「また勘違いしてるかと思って・・・」




まだ耳元・・・




「かんちが、、ぁ、、」



耳元からスルっとよせられた唇がまた深く重なる。
もう本当に苦しくて胸にコツンって手を当てると突きあうオデコ。


「もぉ、、、くる、、、しぃよ」

「オレだから」

「・・・・・」

「さみしいのオレだから・・・・」

「ユソン?」

「でも仕事だから。大切な人たちの役に立てる幸せなことだから・・・」

「ユソン・・・」

「ん、それに天音にしか出来ない仕事だから。オレも誇らしいよ」

「ありがとうユソン」

「ありがとう、は、やめて。本当は、、本当の気持ちは行ってほしくないから。でもダメっていう理由が見つからない。さみしいだけじゃダメだってわかってるから、オレの場合」


少し距離を置いてくれていたユソンを引き寄せ、ぎゅぅぅぅって抱きしめた。






「でもシオンとカノンのさみしいはダメじゃないから・・・」

「うん」

「ふたりのさみしいは最大最高にダメの理由の一番だからちゃんと受け止めてあげて」

「うん・・・」



涙が止まらなくなった。







「そんなことわかってると思うけど・・・・・父親として言ってみた」

「うん。」


なんだか2人で泣いちゃって・・・
途中ハズカシくなってどちらからともなく笑った。




「かえろ。はやくふたりに会いたくなった」

「うん。」




家の車庫に着いた途端に玄関のドアを開けて駆け出してきたシオンとカノン。

お互いにシオンとカノンを抱きしめながら・・・


「ねぇ?」

子供たちの頭を飛び越えてユソンに声を掛けた。





「ん?」

「なんかさ、、やっぱり、、行きたくないかも」

「ふは^^、いいかも。断っちゃえ(笑)」


断ろうか?じゃなくて、断っちゃえ。





ん、もぉ。
断れない、断らないことわかってて、、確信犯。
ユソンに頼んだらきっと断ってくれる。

でも私が頼まれた仕事だし・・・
って言うより正木とエイミのため。




ダメって言う理由がって言ってくれたユソン。

それは私の気持ちを考えての言葉。



きっとそう。

だって、、、
ん、私にも断る理由が見つからない。


から・・・









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