腕の中の静けさは・・・
その日はみんなと外に昼食を食べに行くことになって、
ここでの生活も残すところ2日。

ワイワイ若い子達に囲まれながら横断歩道で信号を待っていた。


ソウル支社の仲間との時間。


シオンとカノンにはたくさんのお土産。
ユソンにはたくさんのお土産話。

途端に浮かぶ家族の笑顔。

そんな私の目に飛び込んできたのは少し前に見える親子




いまだにワイワイ楽しそうに真ん中に私を挟んで話している若い子達の会話を耳にしながら親子を見つめていた。

「シオン!危ないって言ってるでしょ。」



え?

かわいい花柄のエンジェルパックの中ですやすや眠る下の子を気にしながら
上の子の手を繋ぎとめてるママ。

でもシオンくんはワンパクそうでニコニコ笑いながらママの言葉は聞き入れる様子もなく・・・


うちのシオンとは違って大変そうなんて思いながら後ろを向くと
二列後ろにいたウビンと目が合う。

ウビンの視線もその親子にあって、同じ事を思っていたのか、お互いに微笑んで苦笑い。


いまだに赤のままの信号機。


待ちくたびれたのか、段々と動きが大きくなるシオンくんに少し不安がよぎる。


そのときだった。



不安が現実のものとなる。



繋ぎとめられていた手が大きく動いたシオンくんに着いて行けず離れてしまうと
その反動でシオンくんが車道にポンと飛び出した。









「シオン!!!!」 

「あぶないっ!」

「アマネ!!!!!」









重なった三つの声。









キィーーーーーーーーーー!!!!!




ドンッ









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