腕の中の静けさは・・・

fifteen

沢山の機械の音がする。




せわしなく点滅するランプ。
規則正しく上下するポンプ。

それらをじっと見つめる。





その中に小さく静かに浮き沈みする真っ白な布。


あんなもので寒くないのかって聞いたら室温管理もされていると。

静かにゆっくり動く、その布の浮き沈みで確認する。





いまはそれしか手立てがない。

生きてるんだって感じる手立てがそれしかない。








点滴の太い針。

少しだけ覗く細い腕はうっすら紫色になっていた。

正常な自発呼吸が困難な今、
かろうじて見える口元に呼吸器が固定されテープが張ってある。





お腹を守るために自分の身体を酷く打ちつけ
頭を打ち頚椎損傷に大腿骨骨折



今後自分の足で立つことは難しいと説明された。




心肺機能も低下していて肋骨にもヒビが入っている
内臓の損傷も疑われるから今後細かく詳しい検査が必要らしい



お腹の子を守るために投げ出された自身の身体。

ぼろぼろの状態・・・







ただ、、今の救いは命だけは繋ぎとめているってこと。



でもそれだけで、、








それだけでいい。









ぼろぼろの状態だって
なんだって


命が、、








天音が生きているってことだけで



それだけでいい。









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