腕の中の静けさは・・・
『でも~さっすがシオナね~わかる男なんっだなぁぁ~はっは』

シオンをこれでもかってくらい撫で撫でしてる天音に



『いいの?それで?』って少しカラカイ気味に言ったオレ。




『え?ってゆーか?いいの買って?これ?』って長靴指差すから

『もちろん(笑)』って答えて・・・




自分が持つって譲らないシオンと会計に向かって今日一番に驚く!

何にって、その長靴の値段・・・




はぁ?って店員に聞きなおした。

でも間違いなくて少し離れたところに居る天音を見たら知らん顔。








わかってたな、アイツ!


オレの腕の中で店員に『はい!』って言いながら
カウンターに置かれた長靴を何度も何度も差し出している。





『お客様?こちらの商品でよろしかったですか?』





『ぁぁ、、、はい。お願いします、、えっと、、2回で』

『はい、かしこまりました。2回払いですね。』



はぅぅ、、、
二桁超えの長靴は海外のブランドの物で・・・

ヒールのなんと2倍!!!!!


あのヒールも絶対欲しかったはずなんだけどスッパリあきらめた天音。



何回も『ほんとにいいの?いらない?』って確認したけど返事は同じ。

『いらなぁ~い。だってシオニが選んでくれたんだもん』って。



そんなところもやっぱり大好きって思ったんすよね。






雨の日はよく一緒に履いて出かけていた。

雪の日にはふたりで外で大はしゃぎ。




寒いって言って温かな部屋の窓からふたりを眺めてるオレに
ゆきだるまのお土産を持ってきたシオンと天音。



晴れてる日にはベランダに逆さに吊るされたふたつの長靴を
見ながら会社に向かった。




幸せだった・・・




幸せすぎたのかな?














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