腕の中の静けさは・・・
夕方の病室。



眠っている天音の横で空を眺めてた。


オレンジ色の雲の隙間から黄色い空・・・

子供たちはどうしてるかな・・・





「一緒に、、帰れるかな・・」





聞こえた小さな声に振り向くと天音が泣いていた。


ベッドの中に入り腕を通して抱きしめる。





邪魔なのはいつまでもある点滴の管・・・



「それはぁぁ、、ムリかな今は(笑)」

ウソを言ってもしょうがないから・・・




「車イスも練習しなくちゃね」



え・・・






視線がぶつかるとニコって微笑んだ天音。


「手ぇ、、こんなだし。(笑)」



しびれは薄れてきているものの、なくなってはいなくて
先生が話してくれた。





「やはりお腹の負担は大きいようですね・・・」って。


負担なんて思いたくないし思っていないけど
今の天音の負担になってることは事実のようだ・・・


明日、オレは一旦アメリカへ帰る。





話さなきゃいけないって思っていたのに・・・



「車イス、、どうして?」

「だって動かないもん。っていうか感覚ないよ。足ないみたいだもん。見えるけどないみたいだもん・・・
もう動かないんじゃないの?自分で歩けないんじゃないの?
子供たちと一緒に歩けないんじゃ、、、、、ぅぐぅ、、、、、、」




しゃべれなくなった天音。


ぽろぽろ零れ落ちる涙。





もっと引き寄せて、そっとぎゅっと抱きしめる。

今、オレにできる精一杯のこと。




その間に点滴の交換に来た看護師さんが静かに出て行った。






「心配掛けちゃったかな・・・」


「、、、かもね。」

「ダメだね。私・・・」

「オレもね。(笑)」



「赤ちゃんは?」

「ん?」

「産めるの?私ちゃんと産める?」

「ん、、自然はムリだって。でも、ちゃんと産めるから大丈夫」

「、、、そっか。」


「リハビリもしよ。回復の見込みないわけじゃないって先生言ってたから・・・あきらめるのよくないって思う」

「ん、そうだね。」

「命、、、オレは命が助かった、、それだけで、、、」

「ん」



「でも天音は大変かもしれないけど、オレもシオンもカノンも、、アボジだってオモニだって
沢山の人がいる。だから、、、」




ふたりで泣きながら抱きしめあってキスをして
これからのこと「大丈夫」って・・・


その後今後のこと先生と話し合って1日が終わる。





「明日気をつけてね」

「うん」

「子供たちのことお願いします」

「ん、ちゃんと話してシオンとカノン連れてくるから」

「うん」

「もぉ寝よっか。今夜はココで寝る(笑)」



静かに目を閉じた。






ベッドの上から不安そうな視線を投げかける天音に笑顔を返して

オレは一旦アメリカへ戻った。










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