腕の中の静けさは・・・
「シオンくん?」

「はい」

「もう一度抱きしめてもいいかな?」




困ったようにオレを見あげるシオンにうなずくと「はい」って言ったシオン。

ママの後ろには同じように困ったような顔をしたしおんくんがいた・・・



ママは泣いていたけどシオンは真っ直ぐ天音のほうを見ていた。







しばらくするとシオンから離れたママがゆっくり話し出す。

「シオンくん。この子もしおんって言うの。あなたと同じ名前なの。」

「はい・・・」

「あなたのママに助けてもらってね、、、、」




それ以上話せなくなって「ごめんなさい」って繰り返すママから離れるとシオンくんの前に立つ。


しおんくんの手を引きよせると抱きしめたシオン。

もちろん、しおんくんは驚いてるけど・・・



「しおんくん。ボクもシオンってゆーんだ。同じなまえ(笑)ケガはだいじょうぶ?」

「うん(笑)」

「そっか、よかった。ボクのことわすれないでね」

「うん(笑)」





シオンくんの笑顔を見届けてオレのところに走って飛び込んできたシオンを強く抱きしめた。

少し離れたところでしおんくんたちと遊ぶカノンを見ながらシオンが落ち着くのを待つ。






「アッパ、アッパァ、」

「えらかったな。オマエ最高だよ。オンマもシオナかっこいいって笑ってるよ」

「ん、、、ぅぅ、、ぅぐ、、、オンマ、アッパ、、、」




「感じたか?オンマ・・・」

「ん、、」

「オンマが抱きしめて助けたんだ」

「ん、」

「すげーよなオンマ・・・さっきオマエがしおんくんから感じ取ったオンマのぬくもり、
しおんくんを助けたオンマのぬくもり、、忘れんなよ」

「うん。ボクわすれないよ、ぜったいに。」




しおんくん一家を見送って3人でゆっくり手を合わせる。









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