満月の夜異世界へと繋がりました
「美結?大丈夫か?!」

「だ、大丈夫・・・・」


あたしはそっと王子に手を差し伸べられるとゆっくりと立ち上がる
何故ここにお母さんがいるんだろう
何故リルモンド帝国の歴代王妃の肖像画に名を連ねているんだろう
疑問は膨らむばかりであたしの胸にざわざわしたものが広がってくるのがわかる
髪型やドレスの違い、メイクもせいもあるだろうけど娘であるあたしが母親を間違えるはずもない・・・・


これは間違いなくお母さんだ
だったら父親は?もしかして・・・・
もしかして・・・・現在の国王陛下?
だったら、王子はあたしの兄ってことになる


どくっと心臓が波打ったように思えた
手が震える・・・・
息をしても呼吸が苦しくて思わず深呼吸をした


「美結、さっきから様子が変だ・・・・」
「大丈夫・・・・少し疲れたみたいちょっと休めば良くなるから心配しないで」


あたしは心配する王子に微笑みかけると肖像画に再び視線を移した
あたしが知ってるお母さんとはだいぶかけ離れてる
ドレスなんて来てるの見たことないし・・・・
お母さんいっつもジャージだったよね
あたしはなんだか王子の顔を見ていられなくてその場を後にした
王子は用があるみたいだったから・・・・・
彼の背中を見つめてため息をつくと頭をよぎった兄って言葉
もし、兄だったなら彼の気持ちに答えることは出来ない

その可能性・・・・大ありだよ
あたしはここにいてはいけないんじゃないか
なんだかそんな思いがじわじわと強くなっていく
でも、わずか一週間後リルモンド帝国を去ることになるとは思いもしないで唇を嚙みしめていた







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