満月の夜異世界へと繋がりました
「美結、大丈夫?まだ顔色が悪いわ」

「大丈夫です、こっちこそ突然押しかけちゃってすみません」

「いいのよそんなこと~でもまだ寝てたほうがいいわよ無理しちゃダメ」

「マーシーさん・・・・」


そうなのだ、ここに居るのは魔法省に勤務するマーシーさんの職場
王子と別れたあと偶然ばったり再開したのはいいがあたしの顔色が悪いのと様子がおかしいのを見抜いた彼女が魔法省内の医務室に無理やり連れてこられてしまった
さすがは一児の母だけある、身体がって言うより心が悲鳴を上げてるっていったほうが正解なんだろうけど・・・・


「何かあった?」
「・・・・え?」
「凄く心が・・・・魔力が乱れてる」

彼女はあたしの手をそっと握りしめるとそっと呟いた

「あたしに言えないこと?」
「マーシーさん・・・「胸の中にためておくとよくないわよ、あたしに力になれることがあったら言ってこれでも魔法省の上の者には結構顔が利くのよ」

心の涙腺が崩壊した
誰かに聞いてほしくて誰にも言わないでってことを条件に彼女にすべて話した
彼女は何か考え込んでるような感じであたしの話を食い入るように黙って聞いていた


「美結・・・・・美結のお母さんが行方不明の前王妃ってことは間違いない?」
「マーシーさんあたしが実の母を見間違えるはずがない」
「これは仮定の話だけど・・・・」
「はい・・・・・「美結のお母さんえっと王妃さまね?こことは違う世界に転移しちゃったってことはないかしら、これはあたしの独断での考えに過ぎないんだけど高位の魔法使いだったら別の世界に転移させるってことも不可能ではない・・・」
「転移・・・・・」
「但しこの別世界への転移魔法は出来る人が限られるわ、もちろんあたしなんて到底無理だけど国王陛下か魔法省長官クラスだったら可能かもしれないわ」


あたしはマーシーさんの言葉に確信のようなものを感じていた
たぶんお母さんはこの世界の人で何らかの方法を使ってこの世界から転移してきて
お父さんと結婚した?もしかして二人で転移してきた?

「マーシーさん何か・・・・その当時のことを書き記したものとか詳しいことを知ってる人はいないですか?」
「う~ん・・・・知ってる人ねえ、国王陛下あたりなら確実に知ってるかもだけど
今ご病気で臥せったままらしいし書き記したものってなると王立図書館だけど美結が知りたい情報とかだと禁書庫とかにあるだろうし閲覧許可は高位の魔法使いか王子殿下くらいしか見ることは出来ないわ」

「美結!忍び込んで見るとか無しだからね当然魔法が仕掛けられてるから余程高位の魔術師じゃない限り書庫を解除することは不可能よ」

ため息をついて考え込んでるとマーシーさんにがっつり言われてしまった
どうしよう・・・・とりあえず帰ってゆっくり考えてみよう
あたしは医務室を後にする、廊下を考え事をしながら歩いていたので全く気付かなくてふいにドンっと誰かにぶつかった

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