満月の夜異世界へと繋がりました
「美結・・・・」
「人払いを・・・・・王子以外の者はこの部屋から出ていけ、何物もこの部屋に近づけてはならん警備を厳重にせよ」

国王陛下はそう周りの者に言い渡すと侍女さんは出ていき部屋には王子と陛下とわたしの三人だけになった
警備まで厳重にするとは余程の密談でトップシークレットなのだろう
今から話すことは覚悟をもって聞かなければ・・・・


「まず、美結さん・・・・何故自分の母親だと思ったのかね」
「手の甲にある痣です、母は生前火傷をして出来たものだと言っていましたしなにより顔が母に瓜二つです」
「今・・・・なんと言った?」
「え?瓜二つ「違う!!生前と言ったか?」
「はい・・・・父と母は私が三歳の時事故で亡くなりました」
「なんと・・・・・」

「父上!!どういうことなのですか全王妃のエリー様は美結の母上なのですか?」

王子の問いかけに国王陛下は黙って頷いた
やっぱりって言葉が頭を駆け巡る
どういうことなんだろう・・・・この国の王妃だった母がなぜ日本に?って疑問が
あたしの頭から離れない


「わたしが・・・・・彼女を追い詰めた」
「父上、それはいったいどういうことなのですか?」
「それは20年前のことだ・・・・彼女はわたし付きの侍女でなエリーの母親がわたしの乳母だったのもあって低い身分ながら侍女に抜擢されたのだ」
「たしか・・・・全王妃様のご身分は男爵家だったはず確か平民でありながらご実家が財を成して男爵の身分を買ったとか聞きました」

「そうだ・・・・・小さい頃からわたしの傍にいてな、わたしの初恋だった」
「護衛のケンといつも一緒だった、彼女はケンと将来を誓い合う仲だった」

苦しそうに時折懐かしそうに陛下は言葉を繋いでいく
あたしは聞き漏らさぬようにベットの陛下の傍らに座ったまま微動だにしなかった

「ふたりがそのようなことになっているなんてわたしは知る由もない・・・・わたしは周囲の反対を押し切りエリーを王妃に指名した、要は権力にものを言わせて自分のものにしたのだわたしはどうしてもエリーしか考えられなかった、エリーがわたしの全てだった」

「父上・・・・・」

「彼女にひどいことをした・・・脅して監禁まがいのこともした罰があたったんだ
まさか彼女がケンとふたり異世界に逃亡するなんて思いもしない」

「異世界へ・・・・逃亡?」
「そうだ、ケンの家系は代々魔法師の家柄でな・・・転移も国法で禁止されてはいるが彼の家なら出来ないこともないだろう彼自身は魔法の才能はあったようだが剣術のほうで身を立てていくと決めていたらしい・・・彼はエリーと二人異世界へと転移したんだ」

「では・・・・行方不明というのは「王家がつくった言い訳だ、一国の王妃がいなくなったんだ何か理由が必要・・・まあそういう訳だ」
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