愛され女子の激甘コレクション
いつも自分の事を僕と呼ぶ仁志さんが俺と言うことなんて一度もなかった。
怒ってるんだ。怖いよ……。

「私……ごめんなさい……ごめんなさい……」

ひたすら謝り続ける私からひな人形を取り上げて床に置き、仁志さんは顔を覗き込んできた。

「美春。怒ってるわけじゃないんだ。僕は美春の考えていることが知りたい。怖がらなくていいから、教えてくれないか?」
切れ長の瞳は困ったように目じりを下げて、真っ直ぐに見つめてくる。

仁志さんも、私の事が知りたいの?

本当に、思っていることを言ってもいいの……?

それでもまだためらう私は彼の腕に引き寄せられて、砂糖菓子のように優しく包まれた。
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