愛され女子の激甘コレクション
胸がきゅんとして苦しい。忘れられない光景の中の横顔は無表情で、こんなに切なそうな顔はしてなかった。

「子どもの頃沢山一緒に遊んだこと、美春は覚えてないんだよね。僕のお嫁さんになりたいって言ってくれたこと、僕は忘れられなかったよ。いつか君を迎えに行くつもりだった。

だけど美春が弱ってるのにつけ込んで結婚したことは自覚してた。だから美春が僕の事を本当に好きになってくれるまで待とうと思ってたけど……僕も男だからね」

一呼吸おいて、苦しそうに続ける……。

「誘われて何度か関係を持ったの、見られてたんだね。傷つけて……本当にすまない」
項垂れた仁志さん。いつも凛として優しくて、捨てられそうな子犬みたいな姿を見たのは初めてだった。
まさか私に捨てられたくなくて、こんな顔をしてるの?

「仁志さんは私の事、本当に好きなの?」
思わず呆けた顔で尋ねると、頬が彼の両手に挟まれた。

「好きだよ……愛してる。お願いだから僕の傍にいて」

一回りも年上の旦那様からこんな告白。

私、信じられる?
仁志さんのこと、信じられる……?

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