極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「せっかくだから薬膳ドリンクを飲んでみたいんですけど、おすすめあります?」
「体調で気になってることはありますか?」
「そうだなぁ。むくみやすいのは気になるかなぁ」
「でしたら炒った黒豆と棗のお茶がおすすめですよ」
「じゃあ、それをお願いします」
「ありがとうございます」

 注文を受けてキッチンに戻ろうとすると、「白石さん」と声をかけられた。

「店長、仕事もクビになって再就職先も決まらなくてぶらぶらしているらしいから、もしどこかで見かけても声をかけないほうがいいですよ」

 どういう意味だろうと私は首をかしげる。

「ほら、働いていたころから白石さんお気に入りだったから、変に執着しそうじゃないですか」

 以前店で彼に腕をきつく掴まれた感触がよみがえり、少し背筋が冷たくなった。
            
             

 その日の夕方。
 仕事を終えた私は未来のお迎えに行く前に祖父の病院へと向かった。

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