極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
　私の誕生日を祝ってくれたお返しに、今度は私が結貴に手料理を振る舞うことにしたのだ。
　そして、未来の父親が結貴だということを話すつもりでいる。

　結貴は未来をかわいがってくれている。
　自分が父親だと知ったら驚くだろうけど、拒まれることはないと思う。
　
　だけど、当然疑問に思うはずだ。
　どうして五年前、私が嘘をついて彼から離れたのか。

　彼のお母様から別れてくれと頼まれたことを正直に言っていいのだろうか。
　もし私が話すことで、家族関係にひびがはいってしまったら……？
　
不安や悩みはつきないけれど、勇気を出さなきゃと自分に言い聞かせる。

「ママ、こんなかたちでいい？」

　物思いにふけっていると、未来に声をかけられた。
　彼女の小さな手の上にはちょこんと餃子がのっている。

「とっても上手。わかりやすいように、中身ごとに置くお皿を変えようか」
「じゃあ、チーズいりはここ！」

　未来はうなずき少し不格好なチーズ入りの餃子を近くにあったお皿にのせる。

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