極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 今日の昼食のメニューは餃子だ。
 ニラとキャベツがたっぷりの普通の餡に、未来が好物のチーズやトマト入り。
 大葉や刻み生姜、キムチを入れた少し大人向けのものもある。
 
 これを結貴がやってきたらホットプレートで焼く予定だ。
 ほかにエビと春雨のタイ風スープや、スモークサーモンとアボカドを使ったサラダも用意してある。
 
 どんどんできていく餃子を眺めて、未来が「ぎょうざパーティーだね!」とうれしそうに笑う。

「きっと未来が餃子を包んだって聞いたら、結貴も喜ぶよ」
「がんばる!」

 やる気満々で餃子の皮に手を伸ばす様子がかわいくて思わず頬がゆるんだ。

 そのとき来客を知らせるチャイムがなって、ふたりで手を止める。

「ゆうきさん?」
「かな? まだ約束の時間じゃないけど……」

 彼にはお昼ごろにと言っていたんだけど、少し早く来たのかな。
 
 キッチンで手を洗い、玄関に向かう。
 ドアノブを回すと、開いた隙間から手が差し込まれ大きくドアが開かれた。
 
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