極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「白石さん。君がどれだけ俺に愛されてたかわかってる? わざとみんなが嫉妬するように白石さんを特別扱いして孤立させて、俺だけが君の理解者になろうとしていたのに、君は俺の好意を全く理解しようとしないよね」

 言われれば思い当たることがある。
 勤務態度を注意するときに私の名前を引き合いに出したり、プライベートな事情で早退することはほかの人もあることなのに私のときだけ朝礼でみんなに知らせたり。

 すべて、私を孤立させるために?

「仕事がしづらくなればなるほど、唯一の味方の俺を頼らざるをえなくなるだろ」

 ゆがんだ独占欲と支配欲を感じて、背筋が冷たくなる。
 この人、狂ってる。

「それなのに、俺を捨ててお金持ちの男に乗り換えるなんて反則だよ」
「な、なにを言っているんですか?」
「俺が君に好意をもっていたのは気付いていただろう? 気付いててあの店で働き続けていたんだから、それはもう受け入れてくれたってことだよね?」

 店長が必死の形相でこちらを見る。恐怖で体が震えた。

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