極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 玄関を出た店長を靴下のままおいかけしがみつく。

「未来……っ!」
 
 慌てて立ち上がり追いかけると、外階段の前で店長は足を掴む未来を振り払おうとしていた。
 
 乱暴に振り払われ小さな手が店長のズボンから離れた。
 その勢いのまま未来の体が階段の方へ放り出される。
 
 その光景を見て、考えるよりも前に体が動いていた。
 
 両手を伸ばし未来の体を捕まえる。
 胸の中に包み込むように抱きしめて頭をまるめた。
 
 待ち受ける衝撃にぐっと目をつぶり歯を食いしばったけれど、予想したような痛みは訪れなかった。

「え……?」

 ゆっくりと目を開くと、たくましい腕に抱きしめられていた。

「もう、大丈夫だよ」

 私たちを見下ろしてそう言ったのは、結貴だった。
 
 片手で階段の手すりをつかみ、片腕で落ちそうになった私たちをしっかりと受け止めてくてれていた。

「立てる?」
 
 そうたずねられ、頷いて自分の足に力をこめる。
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