極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 私がしっかりと床に足を下ろすのを確認すると、結貴は腕をほどき立ち上がった。
 
 結貴の登場に、それまで威圧的だった店長の表情が一気に青ざめる。
 そんな彼を見据えながら、結貴はゆっくりと口を開いた。

「こんな小さな子を相手に、一体何を考えてるんだ」
「いや、俺は悪くない。ただ、あの子がしがみついてきたから……」
「あのおじさんが、パパがママにプレゼントしただいじなゆびわをとったんだもん!」

 店長のいい訳に、未来が怒った顔で反論した。

 あんなに危ない目にあったというのに、まっすぐな正義感に私ははらはらしてしまう。

「ゆ、指輪は返すから」

 そう言って、店長はジャンパーのポケットから指輪が入った箱を取り出した。

「だから、許して……」
「許すわけないだろう? これは住居侵入と強盗、れっきとした犯罪だ。警察に通報してしっかり処罰してもらう」

 店長の言葉をさえぎって、結貴がはっきりと言う。
 スマホを取り出すと、警察と秘書のアランさんに電話をかけた。
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