極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 話が弾むふたりの間に割って入る。

「ごく普通のファミレスの制服だし、わざわざ見る価値もないから!」
「ママ、どうしてあわててるの?」

 取り乱す私を見て、未来は不思議そうに首をかしげた。
 対して結貴はくすくすと笑い、意地悪な視線をこちらに向ける。

「きっと、かわいいって褒められたから照れてるんだよ」
「そっかぁ。てれてるんだね」
「照れてるママも、かわいいね」

 結貴に私のことをほめられ、未来はうれしそうに「くふふっ」と首をすくめて笑った。
 
 お世辞だとはわかっていても『かわいい』なんて言われるとどうしていいかわからなくなる。
 
 私は身の置き場がなくて両手で顔を覆う。
 そんな私を見て、結貴と未来は額を寄せ合うようにしてまた笑った。

「じゃあ、そろそろ失礼しようかな」

 結貴が未来と目を合わせるために屈めていた体を起こすと、未来が「えぇー!」と声を上げた。

「ゆうきさん、もうかえっちゃうの?」

 この短時間で、すっかり結貴に懐いたようだ。
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