極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 しゃがみこんだ私を制して、結貴は未来に向かって両手を差し伸べる。
 長身の結貴に抱き上げられた未来は、「きゃあ!」と嬉しそうに声を上げた。

「ごめん結貴。重たいでしょ」
「全然。俺がそんなに非力そうに見える? なんなら文香のことも抱き上げてあげようか?」
「な、なに言ってるの」
「ママ、ゆうきさんの抱っこ、高くてきもちいいよ! みらいのつぎはママがしてもらったらいいよ」
「いやいやいや!」

 私が結貴に抱き上げられるなんておかしいから!と頬を熱くしながら言うと、ふたりは顔を見合わせて笑った。
           
       
 
 買い物を終えて自宅に到着する。
 
 買ってきた物をしまい料理の支度をしている間、未来は結貴と一緒にすごろくをはじめた。
 
 子供の遊び相手ばかりさせて申し訳ないなと思ったけれど、ラグの上に座り仲良く向かい合う様子にほっとする。
 結貴は私たちと過ごす時間を心から楽しんでいるようだった。
 
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