隣のキミをもっと溺愛、したい。
放課後、ひとりで花籠神社へと向かった。
朱色の鳥居をくぐり、
長い石段を見上げると
薄く夜の帳がおり始めた神社が
頭上に浮かぶ。
心の奥底に染みついてしまった
恐怖に足がすくむ。
ここから境内へと続く石段は狭くて、長い。
改めて石段を見上げて、
唇を強く噛んだ。
あんなに高いところから、
落ちたんだ……
打ちどころが悪かったら
こんなケガだけじゃ、
済まなかったかもしれない。
そう思うと、
背筋がしんと冷たくなる気がした。
でも、そんなこと、言ってられない。
どんよりと曇った
冬空のもと
記憶をたどるように
ゆっくりと石段を登っていく。
大丈夫、怖くない。
自分自身を励ますように
なんども胸のなかで繰り返す。
すると
前を歩く親子連れに追いついた。
お母さんと一緒に石段を上っている
男の子が甘えた声を出す。
「お母さん、引っ張って!」
「こんなところで、危ないわよ。
頑張って歩いて」
「じゃ、手つないでっ!」
そのとき
冷たい風がふわりと前髪を揺らし、
香るはずのない金木犀の香りを感じる。
通り過ぎた風にのって、耳元に響く声。
『天野、引っ張って』
記憶の底から、
ふわりと浮かぶだれかの笑顔。
灯籠の灯りに照らされた横顔。
つながれた手。
そのぼんやりとしたかすかな
記憶の片りんに
トクトクと鼓動が早まる。
私はやっぱり
だれかと、この神社に来たんだ。
でも、朝歌や叶奈ちゃんじゃない。
ほかのだれかと、ここに来た。
朱色の鳥居をくぐり、
長い石段を見上げると
薄く夜の帳がおり始めた神社が
頭上に浮かぶ。
心の奥底に染みついてしまった
恐怖に足がすくむ。
ここから境内へと続く石段は狭くて、長い。
改めて石段を見上げて、
唇を強く噛んだ。
あんなに高いところから、
落ちたんだ……
打ちどころが悪かったら
こんなケガだけじゃ、
済まなかったかもしれない。
そう思うと、
背筋がしんと冷たくなる気がした。
でも、そんなこと、言ってられない。
どんよりと曇った
冬空のもと
記憶をたどるように
ゆっくりと石段を登っていく。
大丈夫、怖くない。
自分自身を励ますように
なんども胸のなかで繰り返す。
すると
前を歩く親子連れに追いついた。
お母さんと一緒に石段を上っている
男の子が甘えた声を出す。
「お母さん、引っ張って!」
「こんなところで、危ないわよ。
頑張って歩いて」
「じゃ、手つないでっ!」
そのとき
冷たい風がふわりと前髪を揺らし、
香るはずのない金木犀の香りを感じる。
通り過ぎた風にのって、耳元に響く声。
『天野、引っ張って』
記憶の底から、
ふわりと浮かぶだれかの笑顔。
灯籠の灯りに照らされた横顔。
つながれた手。
そのぼんやりとしたかすかな
記憶の片りんに
トクトクと鼓動が早まる。
私はやっぱり
だれかと、この神社に来たんだ。
でも、朝歌や叶奈ちゃんじゃない。
ほかのだれかと、ここに来た。