ツイてない女子は王子に求婚される!!
「なら、菜乃花ちゃんをかけて勝負だ!!」

ストーカーが剣を抜き、「望むところだ」とクーガーも場所から降りる。「待って!」と慌てて菜乃花は止めた。

「クーガー様……」

ふわりとクーガーは微笑み、菜乃花の唇に触れる。二人の唇が優しく重なった。

「愛している。一目ぼれなんだ。だから、渡さない」

剣をクーガーも抜き、緊張した空気が流れる。やがて数秒もしないうちに互いの剣が激しく音を立ててぶつかった。

「……ッ!」

クーガーも負けていないが、ストーカーも強い。菜乃花の体が震えた。キンッと剣の交わる音は止むことがない。どちらも強く、一歩も引くことがない。

「クーガー様……」

菜乃花はクーガーを応援する。突然「結婚しろ」と言った強引な人だが、菜乃花に色々教えてくれた優しい人だ。そして今、菜乃花はクーガーを好きになっている。彼には絶対に勝ってほしい。

その時、青い空が一瞬にして灰色の雲に覆われた。辺りが薄暗くなり、逃げ遅れたクーガーの頰を刃がかする。赤い血が流れるのを、菜乃花は見た。
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