例えば、こんな始まり方
「明日、ちょっと、話を聞いてほしい」

アパートに帰ると純一が言った。純一の「謎」が分かるのだろうか。私は、楽しみなような、怖いような気がしていた。

「うん、分かった。お風呂、お先にどうぞ」

しばらくして。

「真由、上がったよ。どうぞ。先に休ませてもらうね」

「うん。おやすみ」

お風呂に入りながら考えた。何故、純一が東京に来たのか。どうして、大阪を離れなければならなかったのか。あの、プラチナリングは。あぁ、考えてもわからない。明日、純一の話を聞くしかないだろう。

ベッドに行くと、純一はすでに寝入っていた。はぁ。ロッキーみたいな顔で、寝ないでよね。・・・って、これを言ったら、怒られるか。

「おやすみ、純一くん」

今日は、色んなことがあった。とりあえず、紗季があっさりと純一を雇ってくれたのにはびっくりした。あの、堅実な紗季お姉ちゃんが。ふぅ。眠くなってきた。全ては、明日だ。
< 15 / 39 >

この作品をシェア

pagetop