例えば、こんな始まり方
悠翔は、純一に電話をかけた。

「悪い、純!!」

風呂上がりのリラックスタイム。真由と2人でテレビを観ていた。

「悠翔?どした?」

「美沙さんに、店の名前と場所、教えちまった。そのうち、乗り込んでくるぞ!!浮気、とか言ってたから」

「浮気って・・・離婚届、美沙、まだ出していなかったのか」

「らしい。『プラチナリングなんてなくても純一の妻よ』って」

「大丈夫だよ。知らせてくれてありがとう」

私が不安そうに、純一を見上げる。

「美沙さん・・・来るの?」

「大丈夫だよ。ちゃんと話し合う。真由は何も心配しなくていい」

「でも・・・」

「お姉さんには、多少、迷惑かけちゃうかもだけど」

私は、ちょっと考えて言った。

「明日、有休とって店に行くわ。事情を私からも話しておきたい」

「ありがとう・・・ごめんな」

「なんで謝るの?」

「いや・・・ちゃんと、離婚しておかなかったこととか」

「離婚届、出してもらえると思ってたんでしょう?離婚の合意、できてたと」

「ああ」

「だったら。純一くんのせいじゃないよ」

「ありがとう。真由は優しいな」

純一くんは、きちんと言葉にしてくれる。きっと大丈夫だ。
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