例えば、こんな始まり方
RRR・・・悠翔が「保留」にする時間もないほど早く、美沙から電話があった。

「美沙さん・・・焦り過ぎてません?」

「純には電話したの?」

はぁ・・・ため息をつく悠翔。この人の気に短さに付いて行っていた純一を尊敬する。

「しましたけど・・・プラチナリング、売ったそうです。2人はもう、おしまいだって」

しばらくの無言。美沙は泣いているのだろうか。

「美沙さん?」

「・・・プラチナリングなんかなくたって、私は純の妻よ」

「もう、純の気持ちは美沙さんにないよ」

「どうしてそう言い切れるの?」

まずいっ。言うつもりじゃなかったんだけど。

「新しい彼女、が出来たそうです」

「・・・私は、まだ、純と離婚してない。これは、浮気よ」

駄目だ・・・美沙さん。これ以上、純一にしがみついては。

「純に会いに行く。働き先くらい、聞いたんでしょ?」

「美沙さん・・・冷静になろうよ」

「これのどこが、冷静になれるって言うのよ!」

美沙のヒステリックな叫び!あぁ、もう、どうにでもなれ、だ!!

「吉祥寺の・・・『ブロッサム』って言うカフェ」

「分かった。ありがと!」

ブツッ、と唐突に電話は切られた。
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