With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
オリエンテーションの席は、クラス毎ではなかったので、私達3人は並んで座る。そして、司会を務める生徒会役員の開会宣言に引き続き、各部のプロモーションが始まった。


運動部、文化部関係なく、五十音順に登場する各部。それぞれ創意工夫された部活案内、そして中学とは比べ物にならないくらいの多種の部活に感心しながら、舞台を見つめていた。


おスミのお目当てのソフトボ-ル部は、部長以下の全部員が壇上に勢揃いで、アピ-ルしていた。


「喋ってたのがキャプテン。同じピッチャ-なんだ、憧れるなぁ。」


普段ボ-イッシュな、おスミが乙女チックに目をハ-トにしている。ソフト部だから、当然そのキャプテンさんは女子。ちょっと驚いてしまった。


そしてヤ行ということで、我らが(といってもまだ入部したわけじゃないけど)野球部は終盤に登場。ソフトボ-ル部とは対照的に、壇上に上がったのは一人だけ。


「野球部キャプテンの西達暁(にしたつあき)です。僕達野球部は、悲願の甲子園出場の為に、毎日練習に励んでいます。他の部活に比べると、はっきり言って、かなり部活に時間を取られます。ですが、そんなことは苦にならない、野球が本当に好きな部員を求めています。上手い下手は問いませんので、そんな野球好きの方、是非入部をお待ちしています。」


派手なパフォーマンスなど一切なく、そう淡々と私達に語り掛けると、西キャプテンは壇上を降りた。


「真面目そうな人だね。」


「なんかスポ-ツマンらしくないよ。」


なんて私とおスミは勝手なことを喋っていた。


オリエンテーションが終わり、体育館を出た私達3人。明日からは2週間の部活体験期間になり、興味を持った部活を自由に体験できる。でも


「じゃ、私はこれから入部手続きに行って来るから。じゃね。」


と既に何の迷いもないおスミは、私達に手を振ると歩き出して行った。


「張り切ってるな、高山さん。」


「おスミには、他の部活をやるとかソフトをやらないとかっていう選択肢はないからね、って私達も同じだけど。」


「その通り。じゃ、僕達も行きますか。」


「うん。」


私達は顔を見合わせて笑い合うと、グラウンドに向かった。
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