桃色のアリス


女王様を見ると、口をパクパクさせ、何か言っている。


……きょうは…ぱーてぃーに…しゅっせきいただき……?


あぁ!


「えーと、今日はパーティーに出席頂き……あ、ありがとうございます」


つ……次は……!?


もう一度女王様を見る。パクパク。パクパク。


も、もう一回!!


あたふたしていると痺れを切らした女王様が近づいてきた。物凄い顔をしている。まるで鬼のような形相だ。……怖!!


近づいてきた女王様に軽く頭を叩かれる。


「もう、しっかりしなさい!!」

「痛っ!」


頭をさすっていると女王様がマイクをとり、前を向いた。

「パーティーに来てくれて感謝するわ。知ってのとうり、アリスも14歳になった。そしてこの日、幾千年も続く黒き魔女の呪いが再び動きだし、世界は崩壊に向かっている」


会場がシン、となる。

「アリスは十四代目の“アリス”。今までの“アリス”の中でも最も幼いアリスよ」


幾千年にも渡る黒き魔女の呪い。その呪いを何代もの“アリス”が世界の崩壊を止めてきた。私はその“アリス”の中でも最も幼いらしい。


「パーティーに来ていただいて頼みごとをするのも何だけど、どうかアリスの事、応援してあげてちょうだい」


会場に拍手がおこる。それに混じって、沢山の声が聞こえた。


「アリス、頑張ってね!!」

「世界の崩壊、止めるんだぞ!!」

「旅先で怪我すんなよ!」

「帰ってきたらまた遊んでね!」


皆……


思わず涙が零れる。絶対、絶対に私は世界の崩壊を止めるんだ。そして、絶対この街に帰ってくる。



この街で、また笑えるように。




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