やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「ここですか?」
「そう」
「これですか?」
「そう」
和哉が莉緒を連れて来たのはクレープ店だった。
「男一人ではさすがに来れないだろ。しかも30になるようなおっさん。」
「・・・ふふっ」
意外な場所に莉緒が笑った。
「なんだ?」
「いえ。私はミルフィーユクレープがいいです。」
笑う莉緒に和哉は少し首をかしげてから、すぐにメニューに視線を移して悩み始めた。
「俺はダブルチョコバナナで。」
店員に注文をすると莉緒はすぐに財布から二人分の料金を出した。
「ごちそうさまです。」
和哉は莉緒に笑って頭を下げる。
「いえ。」
莉緒は前日から迷惑ばかりかけた御礼とお詫びになればと和哉の分も支払いたいと思っていた。
その通りになって少し心が軽くなった莉緒は、目の前で作られるクレープをじっと見つめる和哉の横顔に思わず微笑んだ。
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