堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
友里恵さんは今まで一番美しく、そして恐ろしい笑みを浮かべると、私の耳元で小さく囁いた。
「――そろそろ消えて? 目障りなのよ」
その言葉に恐怖を感じた時には、友里恵さんの両手がドン、と私の体を後ろに突き飛ばしていた。
落ちる――とそう思った瞬間、「瑠璃!」と最愛の人の声が聞こえて、温かいものに包み込まれた。
しかしなにが起きているのか考える暇もなく、私の体はゴロゴロと、石段を一番下まで転がり落ちていく。
怖くてたまらなかったけれど、痛みは感じなかった。動きが止まったところでぎゅっと閉じていた目をこわごわ開くと、その理由がわかった。
「志門……さん?」
石段の入り口にある鳥居には、提灯がふたつぶら下がっている。そのかすかな明かりが、目の前にある彼の美しい顔を照らしていた。眠っているように伏せられた長い睫毛が、頬に影を落としている。
志門さんが、私をかばってくれたんだ……。そう気づくのと同時に、サッと青ざめた。私をかばいながら境内からここまで落ちて……無事でいられるはずがない。