堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
やがて冬が終わり春が来ても、志門さんの記憶は戻らなかった。しかし、私たちは順調に愛を育み、赤ちゃんを迎える準備を着々と進めた。
そして、出産予定日より三日遅れた、五月三十日の夜――。
「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」
健診に通っていた住谷先生の産婦人科で、私は無事に男の子を出産した。生まれた瞬間、小さな体で精一杯の産声を響かせた、元気いっぱいの赤ちゃんだった。
瞳は彼に似た色素の薄い茶色で、髪の色は黒。ふたりの遺伝子をちょうど分け合ったような容姿は、親ばかかもしれないが、天使のようにかわいかった。
「ああ……やっと会えたな、翔音」
出産に立ち会った志門さんは、タオルにくるまれた我が子と対面すると、感極まって目を真っ赤にしていた。
翔音という名は、いずれ京極グループを継ぐ者として世界へ羽ばたいた時、海外の人々にも発音しやすい名前にしようと、ふたりで相談して決めた。